家路

 

 

何で戻って来た
田んぼ、畑、牛、山、全部。
もう誰もいねえぞ

恋しくてたまらなくなったんだ。

やっと誰にも気兼ねしねぇで、生きていけるって思ったんだ。

 

 

2014/日本/久保田直監督

●4月例会                                                       

 

12(日) 。隠院В娃亜´■隠魁В械
13(月) 。隠粥В娃亜´■隠后В娃

例会場は、京都教育文化センター

 

 

 

  映画『家路』は、日本の原風景ともいえる厳しいながらも美しい自然の中で、農作物という命を育て、先祖代々受け継いできた土地を守りながら生きてきた、ある農家を描く。彼らにとって、土地を突然に奪われることは、故郷や生活の糧だけでなく、農民の誇りを失うということでもある。その事態に農家の長男として生きてきた兄は絶望し、苦悩する。それは誰の身にも起こりうる人間としての誇りや生き甲斐の喪失、そして人間という存在のか弱さをも映し出す。
深い葛藤を抱えながらも、希望を見出そうとする家族の物語は、震災後の家族に焦点を当てながら、兄弟の愛憎、母と息子の愛情、父と子の葛藤、そして夫婦の絆も描き出す。また、福島の被災地と仮設住宅で行った綿密な取材によって得た実在の人物のエピソードを脚本に組み込み、立ち入り禁止区域に戻ってくる弟という非現実的ともいえる設定がありながら、多くの人の心に寄り添う内容になっている。
ドキュメンタリー出身の久保田監督ならではの確かな視点は、震災後の福島の被災地を舞台にしながらも、本作を“被災地の物語”にとどまらせず、「家族とは」「生きるとは」「人間の誇りとは」「命とは」と観るものに問いかける普遍的な物語へと昇華させた。

 東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故によって、先祖代々受け継いだ土地から離れることを余儀なくされた一家。そこを離れて、未来を想像することすらできない毎日を送っていた彼らの前に、20年ほど前に故郷を飛び出したまま連絡すらしてこなかった次男が現れる。必死に働く母と、地域の実力者だった父、腹違いの兄という家族のなかで複雑な少年時代を過ごした彼は、ある“事件”の罪をかぶって故郷を出た。もう二度と帰らないことを決意していたが、無人になった今だからこそ戻ってきたのだ。戸惑う家族を尻目に、彼は一人で苗を育てては、誰もいない田んぼにそれを植えていく。その姿に長男と母親は故郷で生きていく彼の決意を感じ取り、バラバラであった彼らの心と絆が少しずつ再生されていく。

 


 

           

      

 

 


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