別離

 

すれ違う思い、絡み合う秘密と嘘
愛するものとの絆が、今試される
離婚の危機を迎える夫婦

つなぎとめようとする娘

 彼らの問題に巻き込まれるもう一つの家族

2011/イラン/アスガー・ファルハディ監督

●5月例会                                            

19(日) 。隠院В娃亜´■隠魁В械
20(月) 。隠粥В娃亜´■隠后В娃

例会場は、京都教育文化センター

 

 離婚の危機を迎える夫婦、つなぎとめようとする娘、そして、彼らの問題に巻き込まれていくもう一つの家族。すべては愛する人のために、守るべきもののために――。それぞれが抱える“秘密や嘘”、胸の奥にしまわれた“真実”が複雑に絡み合い、彼らの人生を翻弄していく――。
リアリティのある巧みな人物描写と、いくつもの伏線を張り巡らせた緊張感溢れるストーリー展開で、観る者は画面から一瞬も目が離せないほど虜になります。
単に善悪では割り切れない人間心理の複雑さを描いた濃密な人間ドラマが、ここに誕生しました。
夫婦の離婚問題から、介護や格差社会の問題、信仰や倫理に関わる立場の相違、果ては司法の在り方までを浮き彫りにする本作は、映画の舞台であるイランのみならず、どこにでも起こりうる物語として、現代社会に生きる私たちすべての心を大きく揺さぶります。
「もしも自分だったら、どうすべきだろうか--。」映画にちりばめられた多くの問いかけは、観終わった後もずっと私たちの心に深く刻まれることでしょう。

 

 

 

 テヘランで暮らす妻シミンは、11歳になる娘テルメーの将来のことを考えて、夫ナデルとともにイランを出る準備をしていた。 しかしナデルは、アルツハイマー病を抱えることとなった父を置き去りにはできないと国を出ることに反対。夫婦の意見は平行線をたどり、たとえ離婚してでも国外移住を希望するシミンは対立。シミンが裁判所に離婚申請をするが、協議は物別れに終わる。 シミンはしばらく家を出ることとなり、ナデルは父の世話のためにラジエーという女性を雇うことにした。
しかし、ある日、ナデルが帰宅すると、父は意識不明でベッドから落ち床に伏せていた。
ナデルは怒りをあらわにして、ラジエーを問い詰め、彼女を手荒く追い出してしまう。
その夜、ナデルは、ラジエーが入院したとの知らせを受ける。しかも、彼女は流産したというのだった……。これにより、ナデルは19週目の胎児を殺した“殺人罪”で告訴されてしまう。ナデルはラジエーの妊娠を知っていて突き飛ばしたのか……?だとしたら、それは流産するほど強かったのか……?一方、ナデルもラジエーが父に行った行為に関して彼女を告訴。裁判は次第に多くの人々を巻き込み、それぞれの思いが交錯、複雑に絡み合ってゆく……。運命に翻弄されてゆく2組の家族。彼らが辿り着いた結末とは……。

 


            

イランの離婚率


■イランにおける離婚率はここ数10年で急増しており、2000年の約5万組から2010年には約15万組に達した。一方で、結婚適齢期を迎えた若者120万人のうち20万人が未婚とされ、離婚率の上昇と婚姻率の低下が、日本と同様に社会問題となっている。頭を悩ました政府は、アフマディーネジャード大統領(2005-現在)の音頭で、結婚資金のローンや集団結婚式など婚活支援対策に乗り出したが、効果のほどは不明である。

 

■イランでは、結婚する時に、離婚の条件や離婚の場合に支払われる慰謝料の金額なども含め、結婚に関する細かい取り決めがなされ、それが何ページにもわたって、契約書に書き留められる。本作の冒頭タイトル・バックの一番最後に映し出されるのは、そうした結婚契約書の1ページである。


       


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