once ダブリンの街角で

 

人生にたった一度
心が通じる相手と出会えたら…
ストーリートから始まるラブストーリー

2006年/アイルランド/ジョン・カーニー監督

 

 ●12月例会

12(日) 。隠院В娃亜´■隠魁В械
11(月) 。隠粥В娃亜´■隠后В娃

例会場は、京都教育文化センター

 

 ダブリンの街角で、男(グレン・ハンサード)はストリート・ミュージシャンをしている。しかし、彼の前に足を止める者はいない。そこへ雑誌や花を売っている女(マルケタ・イルグロヴァ)が現れる。矢継ぎ早な質問を疎ましく思いながら、男は昼間の彼の仕事である掃除機の修理を約束させられる。翌日、女が壊れた掃除機を引きずってやってくる。彼は再会に驚きながら、その強引さに押され、彼女がピアノを弾かせてもらうという楽器店に立ち寄る。彼女のピアノの腕を確信した彼は、自分が書いた曲を一緒に演奏してみないかと持ちかける。二人のセッションは予想を遥かに上回り、美しいハーモニーを生み出した。彼はその演奏に喜びを覚え、彼女に惹かれていく。翌日、男は自分の曲が入ったCDとプレイヤーを渡す。

 彼女の家に寄った彼は、彼女から母親と幼い娘を紹介され、シビアな移民の共同生活を目にする。男は曲に詞を付けてみないかと持ちかけ、女は喜んで心に抱えていた想いを詞にこめる。彼女は家政婦の仕事に追われ、彼も掃除機の修理と父親の世話をし、別れた恋人のビデオを見ながら曲を作る。

 女は、故郷に夫がいることを告白。夫を愛しているのかと覚えたてのチェコ語で問う男だが、彼女の返事と笑顔の意味はわからない。音楽を通じ、徐々に距離を縮める二人。男はロンドンへ渡る決心をし、最後の週末を一緒に数曲レコーディングしたいと提案。女は積極的に行動し、レコーディングをセッティングする。当日、エンジニアはタイトな演奏と完成された曲に好反応を示し、録音は順調に進んでいく。しかし、書きかけの曲を男の前で弾いた彼女は、突然泣き崩れる。彼女は一人で家族を養っていたのだが、寂しさゆえ男の優しさに心が揺らぎ始めていたのだった。

 一緒にロンドンへ行き音楽をやろうと彼は誘うが、母を連れて行っていいかとの一言で、二人の間に沈黙が訪れる。完成したCDを受け取る女。別々の道を歩んでいくのか、一時の別れになるのか定かではないが、二人は微笑んで別れるのだった。

 

 主演の二人はプロのミュージシャン。さらに監督は、グレン・ハンサードと同じバンド(アイルランドの人気バンド、The Flames)でプレイしていたという生粋の“音楽映画”だ。ストリートからスタジオへ、そしてその先の成功へ―そんなミュージシャンのハングリー精神も垣間見えるが、注目すべきは今までのアイルランド映画にあったような湿気感を伴う貧乏臭さがない事。

 男は生活に困ってストリートで歌っている感じでもないし、最後には飛行機でロンドンに向かう。こんな所にも昨今のアイルランド経済の好況が見て取れる。ただ、好況ゆえ流入する移民(彼女はチェコからの移民)の生活ぶりは楽とはいえない。そんなアイルランドの現在が興味深い。


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