父と暮せば

 

 

 

人間のかなしかったこと、
たのしかったこと、
それを伝えるのが、おまいの仕事じゃろが
2004年/日本/黒木和雄監督

 
   
   

例会場は、京都教育文化センター

●7月例会

 

 

 

  黒木和雄監督の“戦争レクイエム三部作”の完結編となる本作は、井上ひさしの同名戯曲を映画化した反戦ドラマ。戦後の広島を舞台に、原爆で死んだ父と遺された娘の交流を描く。これまでも『TOMORROW/明日』『美しい夏キリシマ』といった作品で、市井の人々と戦争の関わりを描いてきた黒木監督。宮沢りえと原田芳雄が演じる親子の対話を見つめ続ける。

 愛する者たちを一瞬の閃光に奪われ、生き残っ た娘。その恋のひらめきから、この世に舞い戻ったおとったんの亡霊。これはひたむきな魂の再生の物語です。
ヒロシマの真実を演劇的時空間にみごとに凝縮珠玉の舞台を見たのは九年前です。その時、映画にしたいと思いました。しかし、はたして映画にすることができるのか。作者のお許しを得た私はあえてこの難題に挑みました。
シネマの神の加護を念じ、この映画に結集した人々の真摯な友愛を信じ、ヒロシマの死者たち、生者たちの記憶を、映画『父と暮せば』によみがえらせることができれば本望だと思います。(映画パンフレットより 監督 黒木和雄)

 

 盛夏の広島。昭和20年8月6日午前8時15分。突如頭上に炸裂した一発の閃光が人々の運命を襲った。広島を「ヒロシマ」に変え、父と娘の未来を変えた。人類史上初の原爆が投下されてから3年後の広島。図書館に勤める美津江は、愛する者たちを一瞬の閃光で失い、自分が生き残ったことへの負い目に苦しみながら、息を殺すようにひっそり暮らしている。その彼女の前に、ある日ひとりの青年が現れた。原爆の資料集めに情熱を注ぐ木下青年に好意を示され、美津江も一目で彼に魅かれていく。「うちはしあわせになってはいけんのじゃ。」自分は人を好きになったりしてはいけない。幸せなど望んでいない・・・。美津江はそんな恋心を押さえつけ、黙殺しようと必死である。美津江が恋に目覚めたとき、父・竹造の幽霊が現れる。頑なに恋心を否定し、幸せの一歩手前で躊躇する美津江に、父の竹造は自ら「恋の応援団長」を名乗る。なだめ、すかし、励まし、ありとあらゆる方法で何とか娘・美津江の心を開かせようとするのだが・・・。しかし、やがて美津江は知るのである。瓦礫の下から助け出そうとする自分を、なんとしても逃がそうとした父の想いを。自分の分まで生きて、広島であったことを後世に伝えて欲しいという父の切なる願いを。こうして、美津江は生きる希望を取り戻し、それを見届けた竹造は再びあの世へと帰って行くのだった。 


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