おとうと

 

 

 

家族という厄介な
でも、切っても切れない絆の物語
現代を生きる”家族”に寄り添いながら
その希望を描く感動作!
2010年/日本/山田洋次監督

 
16(日) 。隠院В娃亜´■隠魁В械
17(月) 。隠粥В娃亜´■隠后В娃

例会場は、京都教育文化センター

●1月例会

 

 

 

 東京の郊外で、夫亡きあと小さな薬局を営み、一人娘の小春を育ててきた姉・吟子。大阪で何ひとつ成し遂げないまま歳を重ねてしまった弟・鉄郎。音信不通だった彼が突然、小春の結婚式に現れる。以前も吟子の夫の十三回忌で、酔っ払い大暴れした鉄郎。今日は一滴も飲まないと約束するが、酒を目の前にした鉄郎は我慢できず、酔っぱらって大騒ぎ、披露宴を台無しにしてしまう。激怒する身内の中、鉄郎をかばうのは吟子だけだったが、後日、ある出来事がきっかけで、吟子は鉄郎に絶縁を言い渡してしまう。肩を落として出ていく鉄郎の背中に不吉な予感を覚える吟子だったが……。

  季節が流れ、小春をひそかに想い続けていた幼なじみで大工の長田亨(加瀬亮)が、何かと高野薬局に顔を出すようになり、小春の表情にも明るさが戻ってきた。
穏やかな日々が過ぎ、高野家では鉄郎のことが話題に上ることもなくなっていった。しかし、吟子だけは、最後に会った時の顔色の悪い鉄郎の姿が忘れられず、心配で大阪の警察に捜索願を出していたのだった。
吟子の心配は的中。消息不明だった鉄郎が、救急車で病院に運ばれたという連絡が入った。反対する小春を諭して大阪に向かう吟子。駆けつけた大阪で、吟子の恐れは現実となる。
鉄郎の身体中にガンが転移、あと何カ月も生きられないというのだ。
吟子は去来する想いを胸に、鉄郎と再会を果たすが──。

 

 問題ばかり起こしてはいるけれど、愛すべき存在である彼の姿に、『男はつらいよ』の“寅さん”が重なります。軽妙洒脱なしゃべりと、無邪気な笑顔、時折見せる傷ついた男の険しい表情のバランスは、彼にしか演じられなかったでしょう。吟子の娘、小春には、今や日本映画界になくてはならない若手女優となった『フラガール』『百万円と苦虫女』の蒼井優。エリートとの結婚に破れ、新たな愛を見つけるなかで、家族の絆の深さを知る小春の成長を、繊細に演じ切っています。小春の幼なじみで大工の亨には、『それでもボクはやってない』『硫黄島からの手紙』の加瀬亮。結婚の失敗に傷ついた小春を優しく見守る青年役を好演しました。また、絶妙な間合いで鉄郎さえ絶句させる吟子の義母に加藤治子、厳格な兄に小林稔侍が扮し、小日向文世、石田ゆり子、笹野高史、森本レオ、キムラ緑子、近藤公園など、錚々たる顔ぶれが出演しています。
喧嘩したり、許したりを繰り返す家族に、いつかは必ず訪れる最期の別れ。どのように家族を看取り、現実を受け入れていくのか。戦後の昭和に生まれ育った姉と弟の切りようにも切れない絆を、バブル景気の直前に生まれた娘の眼を通して描く本作で、私たちがスクリーンに見るのは、現在とこれからの日本の家族の姿です。

 相変わらずの、丁寧に作りこまれた脚本(山田監督と、助監督の平松恵美子との共作)、人情厚い下町の人たちや、ホスピスに収容された身寄りのない病人たち、それを献身的に診療する医者…等、社会の片隅で生きている名もなき人たちに注ぐ、作者の温かい視線にも涙せざるを得ない。大人が観るべき、珠玉の人間ドラマの秀作である。

 

 

 


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