この自由な世界で

           It's A Free World...

 

 

ロンドン。彼女はただ生き抜きたかった。
息子を幸せにしたかった。
 そのための「自由」があると彼女は信じた。
社会の片隅で生きる者たちが幸福に生きること。それが難しい「自由な世界」とは?
2004年/ イギリス・イタリア・ドイツ・スペイン/ケン・ローチ監督 

 
23(日) 2:00〜
24(月) 。押В娃亜´■掘В娃
25(火) 7:00〜

例会場は、京都教育文化センター

●8月例会

 

 

 

 

 一人息子ジェイミーを両親に預けて働くシングル・マザーのアンジーの仕事は外国へ行き、労働者を集める事。ある日突然クビを告げられた彼女は、今までのノウハウと経験を生かして、自分で職業紹介所を立ち上げる。親友のローズを共同経営に、二人は移民労働者たちを集めて仕事の斡旋を始めた。アンジーの努力もあり、仕事は増えていくが、やがてトラブルが出始める。ある日、不法移民を働かせる方が儲けになることを知る。同時に法に触れない裏技も知る。もっとお金があれば息子と暮らせるし、もっと幸せになれると信じて、越えてはいけない一線を越えたとき、事件は起きた……。

 

 映画の背景には、競争によってより大きな利益を追う現代社会や移民労働者の問題。それは「自由市場」の世界(そこが原題の[it's a free world...]に)。きれいごとだけでは生きられないというが、品格も美学もない世界。でも、それが現実。映画にも描かれているが、移民労働者の多くは、正規労働者のような権利を保障されていない場合があるということ。日本でも、同じような現実を抱えていると思うが、大題的に表面化することはないのだろう。つまり、連日ニュースで取り上げられ、人々の最大の関心ごとになるという状態。先々は予測しがたいことだが。

 

 90年代以降、ほぼ毎年のように映画を撮り続けている監督、ケン・ローチ。彼が描くのはこの世界で弱い立場にいる人たち。この物語の主人公アンジーもそうした人間のひとりで、搾り取られて用がなくなったら捨てられるという点では、移民労働者たちとそう変わらない。そんな状況から脱するために彼女は競争社会の中に入っていくが、それは「搾取される人間は、さらに下のものから搾取する」という、世の中のシステムに乗っていく事になる。悪意がないにも関わらず、必死に生きようとする人間がどんどん追い詰められていく、この世界。はたして、私たちは本当に「自由な世界」に生きているのだろうか。そんな問いかけが胸に沁みる傑作だ。


前
2009年9月例会…おくりびと
カテゴリートップ
例会上映作品
次
2009年7月例会…天然コケッコー